確定申告の税理士費用はいくら?個人事業主の相場・変動要因・メリット・デメリットを公認会計士・税理士が解説
Relyne(リライン)会計事務所の永野です。
確定申告を税理士に依頼した場合の費用は、事務所ごとに異なります。
相場を知っておけば、見積りを受け取ったときに、その金額が高いのか安いのかを判断できます。
本記事では、個人事業主が確定申告を税理士に依頼した場合の費用の相場、費用の変動要因、依頼するメリット・デメリットを公認会計士・税理士が解説します。
目次
1. 確定申告が必要になる場合
1-1 所得税の確定申告が必要な人
個人事業主は、その年の所得(売上から必要経費を引いた金額など)の合計が所得控除の合計を超え、納める所得税がある場合に、所得税の確定申告が必要です。
申告と納付の期限は、翌年の3月15日です。
会社員の給与のように、支払う側が年末調整で税金を精算してくれることはありません。
売上と必要経費を自分で集計し、所得税を計算して申告する必要があります。
1-2 申告義務がなくても確定申告をした方がよい場合
次の場合は、申告義務がなくても確定申告をした方が有利です。
- 事業が赤字で、青色申告をしている
赤字(純損失)を翌年以後3年間繰り越して、黒字になった年の所得から差し引けます。
繰り越すには、赤字の年に確定申告書(損失申告用の第四表)を提出する必要があります。
白色申告の赤字は、災害による損失など一部を除いて繰り越せません。 - 取引先から報酬を受け取るときに、所得税が源泉徴収されている
原稿料、デザイン料、経営コンサルティング料などは、支払う側が法人等の場合、10.21%(100万円を超える部分は20.42%)の所得税を差し引いて支払われます。差し引かれた所得税の合計が、計算した所得税より多い場合、確定申告をすると差額が還付されます。
還付を受けるための申告は、翌年1月1日から5年間できます。
なお、所得税の確定申告をすると、その内容が税務署から市区町村に送られるため、住民税の申告は不要です。国民健康保険料も、確定申告の所得をもとに計算されます。
参考:国税庁|No.2070 青色申告制度
参考:e-Gov法令検索|所得税法第70条(純損失の繰越控除)
参考:国税庁|No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは
参考:国税庁|No.2030 還付申告
1-3 消費税の確定申告が必要な人
次のいずれかに当てはまる個人事業主は、所得税とは別に、消費税の確定申告が必要です。
申告と納付の期限は、翌年の3月31日です。
- 2年前の課税売上高が1,000万円を超えている
- 前年の1月から6月までの課税売上高と給与の支払額が、どちらも1,000万円を超えている
- インボイス発行事業者の登録をしている
- 消費税課税事業者選択届出書を提出している
参考:国税庁|No.6501 納税義務の免除
参考:国税庁|No.6601 申告と納税
消費税については「【図解】消費税の仕組みを税理士が徹底解説|納税義務の判定・計算方法からインボイスまで」も合わせてご参照ください。
2. 確定申告を税理士に依頼した場合にかかる費用
2-1 費用の相場
税理士報酬は、2002年に税理士会の報酬規程が廃止されて以降、各事務所が自由に決めています。
次の表は、各税理士事務所が公表している料金表などをもとにした目安です。
| 依頼する範囲 | 売上500万円未満 | 売上500万円〜1,000万円 | 売上1,000万円〜3,000万円 |
|---|---|---|---|
| 確定申告のみ (記帳は自分で行う) |
5万〜10万円 | 8万〜15万円 | 12万〜20万円 |
| 記帳代行+確定申告 (いわゆる丸投げ) |
10万〜15万円 | 15万〜20万円 | 20万〜30万円 |
| 顧問契約 (年間の相談+確定申告) |
15万〜25万円 | 20万〜30万円 | 30万〜45万円 |
※1年分の確定申告にかかる費用(税抜)
確定申告のみは、自分で作成した帳簿をもとに、申告書の作成・提出を依頼する形式です。
記帳代行+確定申告は、領収書や通帳の明細等を渡して、帳簿の作成から依頼する形式です。
顧問契約は、申告書の作成・提出だけでなく、年間を通じた税金等の相談ができる形式です。
費用は月額顧問料と確定申告料の合計です。月額顧問料は、月1万〜2.5万円程度、確定申告料はその3〜6か月分が目安で、合計すると上記の表の金額(年15万~45万円)になります。
記帳代行を含めると、月0.5万〜1.5万円程が加算されます。
2-2 費用の変動要因
確定申告の税理士費用は作業量で決まるため、次の要因で変動します。
- 記帳を自分で行うか、税理士に任せるか
記帳代行は、取引を1件ずつ入力して内容を確認する作業が加わります - 売上規模と取引の数
売上が大きいほど取引数・確認事項が増えます - 消費税の申告の有無と計算方法
一般課税は、支払った消費税を取引ごとに区分して集計する必要があります
目安:簡易課税で2万〜3万円、一般課税で4万〜6万円の加算 - 青色申告か白色申告か
青色申告で特別控除を最大限受けるには、複式簿記での記帳と貸借対照表の作成が必要です - 事業所得以外の所得の有無
不動産の貸付け・売却、株式・仮想通貨取引等があると、その所得の計算が必要になります - 依頼する時期
期限間近の依頼は短い期間に作業を集中させる必要があります
2月以降の新規依頼に対して割増料金を定めている事務所もあります - 資料・帳簿の状態
領収書が未整理だったり、事業と私用の支払いが混在している状態だと確認作業が増えます
また、自分で会計ソフトに入力していても、預金残高が合っていない、勘定科目誤りが多いような帳簿は、1件ずつ確認し修正する必要があり、記帳代行と変わらない作業量になります
3. 確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット
3-1 メリット
- 帳簿と申告書の作成にかける時間を減らせる
年末から3月にかけて、確定申告に本業の時間を割く必要がなくなります。 - 青色申告特別控除、必要経費・所得控除などの漏れを防げる
青色申告特別控除を満額受けるためには、複式簿記での記帳、貸借対照表と損益計算書の添付、期限内の申告、e-Taxでの提出の全てを満たす必要があります。
家事按分や経費になるか、控除を受けられるかといった判断が必要な事項も確認できます。 - 税務署からの問い合わせや税務調査に税理士が対応できる
申告書に税務代理権限証書を添付すると、税務調査の事前通知を税理士が受け、調査当日も税理士が立ち会います。税理士が申告内容を確認した事項を記載した書面(税理士法第33条の2の書面)を添付している場合は、税務調査の前に税理士への意見聴取が行われ、そこで疑問点が解消すれば、調査に移行しないという連絡が税理士に届きます。
参考:国税庁|No.2072 青色申告特別控除
参考:国税庁|書面添付制度に係る事務運営指針(所得税)
3-2 デメリット
- 費用がかかる
自分で申告すれば会計ソフト利用料程度で済むところ、追加の費用がかかります。 - 税理士が指定する期限までに資料をそろえる必要がある
自分で申告する場合と違い、申告期限まで待ってもらうことはできません。
領収書・請求書・通帳の明細などを、税理士が指定する期限までに渡す必要があります。 - 事業の数字を把握しにくくなる
記帳から任せると、売上・利益・納税額の見込みを年の途中で見る機会がなくなります。
税理士に依頼していても、申告内容に誤りがあった場合に税金を納めるのは本人です。
申告書と決算書は、税理士から説明を受けて内容を理解しておきましょう。 - 確定申告のみの依頼では、年内の節税対策の提案を受けられない
確定申告を依頼する時点でその年は終わっているため、年内に手続きが必要な節税対策や法人化の判断は、申告とは別に年の途中で相談する必要があります。
個人事業主の節税対策や法人化の判断については、以下の記事もご参照ください。
「個人事業主の節税対策を公認会計士・税理士が解説|優先順位と注意点」
「個人事業主が法人化するタイミングは?節税効果と判断基準を税理士が解説」
4. Q&A
Q1. 税理士に支払った費用は経費になりますか?源泉徴収は必要ですか?
A. 事業の確定申告のために支払った報酬は、全額が必要経費になります。
自宅の売却など、事業と関係のない申告のために支払った部分は、必要経費になりません。
源泉徴収が必要かどうかは、従業員や青色事業専従者に給与を支払っているかで決まります。
(依頼先が税理士法人の場合は、給与の支払いの有無にかかわらず源泉徴収は不要)
- 給与を支払っている個人事業主
税理士報酬から所得税10.21%(100万円を超える部分は20.42%)を差し引いて支払い、翌月10日まで(納期の特例を受けている場合は7月10日と1月20日)に納付します。 - 給与を支払っていない個人事業主
源泉徴収は不要で、請求された金額をそのまま支払います。
参考:国税庁|No.2502 源泉徴収義務者とは
参考:国税庁|No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金
納期の特例については「源泉所得税の納期の特例とは?適用条件・申請書の書き方・注意点を税理士が解説」で詳しく解説しています。
Q2. 記帳から全て任せる場合、自分ですることはありますか?
A. あります。
- 資料を渡す
領収書・請求書・通帳やクレジットカード明細等を税理士が指定する期限までに渡します。
事業用の口座とカードを会計ソフトに連携している場合は、明細の提出は不要です。 - 税理士からの質問に答える
事業と私用の支払いの区分、自宅の家賃や車の家事按分の割合、年末時点の売掛金や在庫の金額などは、本人にしか分かりません。 - 申告内容を確認し、納税する
申告書の内容を確認したうえで、所得税は3月15日までに納付します。
(振替納税の場合は4月に口座から引き落とし) - 帳簿と書類を保存する
帳簿は7年間、領収書や請求書などの書類は5年間または7年間の保存義務があります。
Q3. 会計ソフトを使えば、税理士に依頼しなくても大丈夫ですか?
A. 次の全てに当てはまるような方は、会計ソフトで自分で申告することができます。
- 収入が事業所得だけで、不動産や株式の売却がない
- 消費税の申告がない(免税事業者)
- 事業用の口座・クレジットカードを私用と分けていて、取引の数が多くない
- 売掛金、前受金、減価償却など、計上と入出金の時期がずれる取引を自分で処理できる
反対に、不動産を売却した、消費税の課税事業者になった、取引が増えて記帳が追いつかなくなったといった場合は税理士に依頼した方がよいでしょう。
なお、会計ソフト利用料は、freee会計の個人事業主向けプランで月980円からです(年払い)。
参考:freee|料金プラン
Q4. 税理士以外に確定申告を頼むことはできますか?
A. できません。
他人の確定申告書を作成すること、税金の相談を受けること、税務署に対して本人の代理をすることは、税理士と税理士法人だけに認められた業務です(税理士法第52条)。
税理士でない人がこれらを行うと、報酬の有無にかかわらず税理士法違反になります。
行政書士、司法書士、記帳代行会社などに、確定申告書の作成を頼むことはできません。
(弁護士は、国税局長に通知すれば税理士業務を行うことができます)
依頼先が税理士かどうかは、日本税理士会連合会の税理士情報検索サイトで確認できます。
参考:国税庁|No.9204 にせ税理士にご注意
参考:日本税理士会連合会|税理士情報検索サイト
5. まとめ
個人事業主が確定申告を税理士に依頼した場合の費用の相場、費用の変動要因、依頼するメリット・デメリットを解説しました。
本記事のポイントは次のとおりです。
- 個人事業主は、所得税がかかる年は確定申告が必要
- 税理士費用の目安(売上3,000万円までの場合)
確定申告のみで年5万〜20万円、記帳代行込みで10万〜30万円、顧問契約で15万〜45万円 - 費用の変動要因は、記帳代行の有無、売上規模と取引の数、消費税申告の有無と計算方法、事業所得以外の所得の有無、依頼時期、資料・帳簿の状態
- 依頼するメリットは、時間の確保、青色申告や経費・控除の漏れ防止、税務調査への対応
- デメリットは、費用、期限に合わせた資料の準備、事業の数字を把握しにくくなること
当事務所では、記帳・確定申告・税務調査対応など個人事業主の方の税務をサポートしています。
初回無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事を書いた人
永野 隆丞(公認会計士・税理士)
日本公認会計士協会 東京会 46468号/東京税理士会 157067号
Relyne(リライン)会計事務所 代表。
有限責任監査法人トーマツ、ミネベアミツミ株式会社での監査・経理実務を経て、東京都千代田区で開業しました。クラウド会計freeeを活用した創業期の会社のサポートを強みとしています。ブログ記事は顧問先様に実際に説明するときにも活用しており、会計や税金に初めて触れる方でも分かりやすい内容を心がけています。趣味はサッカー観戦・野球・将棋です。
