法人の税金12種類と納税タイミング|計算方法・ペナルティまで税理士が解説
Relyne(リライン)会計事務所の永野です。
会社を設立すると、さまざまな種類の税金を納める必要があります。
しかし、法人に課される税金は、それぞれ計算方法や納税タイミングが異なるため、「いつ・何を・いくら納めればよいのか」を正確に把握しておかないと、延滞税などの余計なペナルティが発生してしまうことがあります。
この記事では、これから会社を設立する方や、法人の税金について改めて整理しておきたいという方に向けて、法人に課される税金の種類・納税タイミング・計算方法、納税遅延や申告漏れで発生するペナルティについて、公認会計士・税理士が分かりやすく解説します。
自社の税額シミュレーションや節税対策について個別に相談したいという場合は、専門家にお任せすることも可能です。当事務所では、初回相談を無料で承っております。「自社にはどんな税金がかかるのか」「どんな節税対策が考えられるのか」など、まずは疑問点を整理するだけでもお気軽にご活用ください。
目次
1. 法人に課せられる税金は大きく12種類
法人として事業を行うと、代表的なものだけでも12種類の税金が発生します。
これらは納税タイミングの違いから、以下の3つのグループに分けて整理すると理解しやすくなります。
| グループ | 納税タイミング | 対象となる税金 |
|---|---|---|
| ① 決算後にまとめて納税 | 事業年度終了日から2か月以内 | 法人税 法人住民税 地方法人税 法人事業税 特別法人事業税 消費税 |
| ② 毎月・半年ごとに納税 | 原則は翌月10日/特例で半年ごと | 源泉所得税 住民税(特別徴収) |
| ③ その都度納税 | 取得・契約・保有時など | 固定資産税 印紙税 登録免許税 自動車税(軽自動車税) |
なお、事業規模や所有資産によっては、上記以外に事業所税(東京23区や人口30万人以上の都市で、一定規模以上の事業所を有する法人が対象)が発生する場合もあります。
出典:総務省|事業所税
2. 【事業年度終了日から2か月以内に納税】法人に課せられる税金6種類
法人税・法人住民税・地方法人税・法人事業税・特別法人事業税・消費税の6つは、事業年度終了日の翌日から2か月以内に、決算申告と併せて納税する必要があります。
たとえば3月決算の会社であれば、5月末までに申告・納税を完了させる必要があるということです。
1年分の税金をまとめて支払うため金額が大きくなりがちですので、日頃から納税資金を確保しておくことが重要です。
2-1 法人税
法人税とは、会社の課税所得に対して課される国税です。
課税所得とは、会計上の利益ではなく、「益金(売上等)- 損金(経費等)」で計算される税法上の利益のことを指します。
【法人税率(令和7年4月1日~令和9年3月31日に開始する事業年度)】
| 区分 | 課税所得 | 税率 |
|---|---|---|
| 資本金1億円以下の中小法人等 | 年800万円以下の部分 | 15%(軽減税率) |
| 資本金1億円以下の中小法人等 | 年800万円超の部分 | 23.2% |
| 所得10億円超の中小法人等 | 年800万円以下の部分 | 17% |
| 上記以外の普通法人 | 全額 | 23.2% |
【2025年度税制改正のポイント】
中小法人に適用される軽減税率15%は、令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度まで2年延長されました。ただし、所得10億円超の事業年度については、800万円以下の部分に17%が適用されるほか、グループ通算制度を適用している法人は軽減税率の対象外となりました。
【計算例】資本金1億円以下・課税所得1,000万円の場合
- 800万円 × 15% = 120万円
- 200万円 × 23.2% = 46万4,000円
- 合計:166万4,000円
ポイント
法人税は課税所得がある場合にのみ課されるため、赤字決算の場合は納税義務がありません。また、青色申告の欠損金繰越控除(最長10年)を活用すれば、過去の赤字と当期の黒字を相殺して課税所得を圧縮できます。
2-2 法人住民税
法人住民税とは、会社を登記している都道府県・市区町村に納める地方税です。都道府県に納める「道府県民税(東京都は都民税)」と、市区町村に納める「市町村民税」に分かれています。
法人住民税は、以下の2つの要素で構成されています。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 均等割 | 資本金等の額と従業員数に応じて、定額で課税される部分 |
| 法人税割 | 法人税額をもとに、一定の税率をかけて計算される部分 |
均等割は赤字の場合でも発生する点に注意が必要です。最低でも年7万円(東京都の標準的な小規模法人の場合)程度は発生します。
法人税割の標準税率は1.0%、超過税率は2.0%です(東京都23区内は特例により7.0%/10.4%)。
【計算例】東京都港区・法人税額400万円の場合
- 法人税割:400万円 × 7.0% = 28万円
- 均等割:7万円(資本金1,000万円以下・従業員50人以下の場合)
- 合計:35万円
出典:総務省|法人住民税
2-3 地方法人税
地方法人税とは、地方自治体間の税収格差を是正するために、国が一括して徴収し、地方へ配分する国税です。
計算式は以下のとおりです。
法人税額 × 10.3% = 地方法人税
法人税額を基準に計算されるため、赤字で法人税が発生しない場合は、地方法人税も発生しません。
【計算例】法人税400万円の場合
- 400万円 × 10.3% = 41万2,000円
2-4 法人事業税
法人事業税とは、事業活動そのものに対して課される地方税で、都道府県に納付します。
公共サービスの利用に対する応分の負担という性格の税金です。税率は法人の種類・資本金額・所得金額によって異なり、また、自治体ごとに標準税率と超過税率が定められています。
【東京都の法人事業税率(普通法人・令和4年4月1日以後開始事業年度)】
| 区分 | 標準税率 | 超過税率 |
|---|---|---|
| 年400万円以下の所得 | 3.5% | 3.75% |
| 年400万円超800万円以下の所得 | 5.3% | 5.665% |
| 年800万円超の所得 | 7.0% | 7.49% |
【計算例】資本金1億円以下・所得1,000万円・軽減税率適用法人の場合
- 400万円 × 3.5% = 14万円
- 400万円 × 5.3% = 21万2,000円
- 200万円 × 7.0% = 14万円
- 合計:49万2,000円
出典:東京都主税局|法人事業税
注意
資本金1億円超の法人には外形標準課税が適用されるため、赤字でも法人事業税(付加価値割・資本割)の納税義務が生じます。
2-5 特別法人事業税
特別法人事業税とは、地域間の税源の偏りを是正する目的で2019年に創設された国税です。法人事業税と併せて都道府県へ申告・納付しますが、国税として取り扱われます。
計算式は以下のとおりです。
基準法人所得割額(法人事業税の所得割額)× 37% = 特別法人事業税(普通法人の場合)
【計算例】法人事業税49万2,000円の場合
- 49万2,000円 × 37% = 18万2,040円
法人事業税と特別法人事業税はセットで考えると分かりやすくなります。
2-6 消費税
法人も、一定の要件を満たすと消費税の課税事業者として申告・納付する必要があります。
【課税事業者となる主なケース】
- 基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超
- 特定期間(前事業年度の前半6か月)の課税売上高および給与等支払額がいずれも1,000万円超
- 資本金1,000万円以上で会社を設立した場合(設立1期目・2期目)
- インボイス発行事業者として登録した場合
【消費税の計算方法】
| 方式 | 概要 |
|---|---|
| 原則課税 | 受け取った消費税 - 支払った消費税 = 納付税額 |
| 簡易課税 | 受け取った消費税 ×(1 - みなし仕入率)= 納付税額 ※課税売上高5,000万円以下の事業者のみ選択可 |
| 2割特例 | インボイス制度を機に免税事業者から課税事業者になった場合の特例。 (令和8年9月30日の属する課税期間まで利用可能) 納付税額は「受け取った消費税 × 20%」 |
出典:国税庁|消費税のしくみ
出典:国税庁|2割特例の概要
3. 【毎月もしくは半年ごとに納税】法人に課せられる税金2種類
会社が従業員や役員に給与を支払う場合、会社が税金を預かり、代わりに納付する義務が生じます。これを「源泉徴収」「特別徴収」といいます。
3-1 源泉所得税
源泉所得税とは、給与や報酬から所得税を天引きし、会社が国に代わって納付する仕組みです。
【源泉徴収の対象となる主な支払い】
- 役員・従業員への給与や賞与
- 税理士・司法書士・弁護士等への報酬
- 原稿料・デザイン料・講演料
- 外交員・モデル・プロスポーツ選手等への報酬
原則として、支払った月の翌月10日までに納付します。
【源泉所得税の納期の特例】
従業員10人未満の会社は、事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、年2回の納付にまとめることができます。
| 対象期間 | 納期限 |
|---|---|
| 1月~6月に源泉徴収した分 | 7月10日 |
| 7月~12月に源泉徴収した分 | 翌年1月20日 |
小規模な会社の場合、毎月の納付事務の負担が大きいため、この特例を利用しましょう。
3-2 住民税(特別徴収)
住民税の特別徴収とは、従業員の住民税を給与から天引きし、会社が各市区町村に代わって納付する仕組みです。
会社は毎年5月頃に、各市区町村から従業員ごとの「特別徴収税額通知書」を受け取ります。その通知書に記載された金額を、6月から翌年5月までの12回に分けて、給与から天引きして納付します。
納期限は徴収した月の翌月10日です(源泉所得税と同日)。
ポイント
源泉所得税と異なり、住民税は前年の所得をもとに計算されているため、給与額が変動しても毎月の徴収額は変わりません(5月の給与で最終月の徴収額を調整する場合があります)。
4. 【その都度納税】法人に課せられる税金4種類
資産の保有や契約・登記などに応じて、その都度発生する税金が以下の4つです。
4-1 固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日時点で所有している土地・建物・償却資産に対して課される地方税です。
【対象となる主な資産】
| 種類 | 具体例 |
|---|---|
| 土地 | 事務所敷地、駐車場、倉庫用地など |
| 家屋 | 事務所ビル、店舗、工場、倉庫など |
| 償却資産 | 機械装置、工具器具備品、看板、内装設備など(※自動車は対象外) |
固定資産税は、各市区町村から送付される納税通知書に基づき、原則として年4回(4月・7月・12月・2月頃)に分けて納付します。一括納付も可能です。
税率は標準で1.4%(評価額に対して)で、償却資産については毎年1月31日までに「償却資産申告書」を市区町村へ提出する必要があります。
出典:総務省|固定資産税の概要
4-2 印紙税
印紙税とは、契約書や領収書など、一定の文書を作成した際に課される国税です。
収入印紙を購入して文書に貼付し、消印をすることで納付したとみなされます。
【収入印紙が必要となる主な文書】
- 不動産売買契約書・土地賃貸借契約書
- 工事請負契約書
- 金銭消費貸借契約書
- 5万円以上の領収書
- 株券・合併契約書 など
印紙税額は文書の種類と記載金額によって決まります。なお、電子契約書には印紙税は課されません。電子化を進めることで印紙税を節約することも可能です。
出典:国税庁|印紙税額の一覧表
4-3 登録免許税
登録免許税とは、不動産・会社・船舶などの登記・登録を行う際に課される国税です。
【主な登記と登録免許税額】
| 登記の種類 | 税率・税額 |
|---|---|
| 株式会社の設立登記 | 資本金 × 0.7%(最低15万円) |
| 合同会社の設立登記 | 資本金 × 0.7%(最低6万円) |
| 役員変更登記 | 1万円(資本金1億円超の場合は3万円) |
| 本店移転登記 | 3万円(管轄法務局内の移転) |
| 不動産登記(土地売買による所有権移転) | 固定資産税評価額 × 2.0%(軽減措置あり) |
会社設立時だけでなく、役員変更や本店移転の際にも発生しますので、登記事項に変更があった場合は忘れずに納付しましょう。
4-4 自動車税(軽自動車税)
自動車税・軽自動車税とは、毎年4月1日時点で所有している自動車に対して課される地方税です。
| 車両区分 | 税金の種類 | 納税先 | 納期限 |
|---|---|---|---|
| 普通自動車 | 自動車税(種別割) | 都道府県 | 5月末日頃 |
| 軽自動車 | 軽自動車税(種別割) | 市区町村 | 5月末日頃 |
税額は、排気量・新車登録からの経過年数・用途(自家用/事業用)によって決まります。毎年5月上旬に納税通知書が届きますので、忘れずに納付しましょう。
また、自動車を新規購入・中古購入した際には、環境性能割(取得価額の0~3%)も課されます。
5. 【2026年4月以降】新設される「防衛特別法人税」にも要注意
2025年度税制改正により、防衛力強化の財源確保を目的とした「防衛特別法人税」が創設され、2026年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
【防衛特別法人税の概要】
- 課税標準:各事業年度の基準法人税額(法人税額から所得税額控除等を差し引く前の額)
- 基礎控除:年500万円
- 税率:4%
(基準法人税額 - 500万円)× 4% = 防衛特別法人税
【計算例】法人税額600万円の場合
- (600万円 - 500万円)× 4% = 4万円
法人税額が年500万円以下の中小法人は、実質的に負担なしとなります。そのため、大半の中小企業に直接的な影響はありませんが、所得が増加してきた企業は事前に把握しておきましょう。
出典:国税庁|防衛特別法人税
6. 納税遅延や申告漏れで発生するペナルティ
法人の税金を期限内に正しく申告・納付しないと、本来の税金に加えて次のようなペナルティが課されるため、注意が必要です。
6-1 延滞税(納税が遅れた場合)
納期限の翌日から納付日まで、日割りで延滞税が発生します。令和8年(2026年)中の延滞税の割合は以下のとおりです。
| 経過期間 | 税率(令和8年中) |
|---|---|
| 納期限の翌日から2か月以内 | 年2.8% |
| 納期限の翌日から2か月超 | 年9.1% |
未納税額 × 税率 × 延滞日数 ÷ 365日
【計算例】未納税額400万円を60日遅延した場合
- 400万円 × 2.8% × 60日 ÷ 365日 = 約1万8,400円
2か月を超えると税率が跳ね上がりますので、資金繰りが苦しい場合でも、可能な限り早期に納付することが肝心です。
6-2 加算税(申告内容に問題があった場合)
| 種類 | 発生する場面 | 税率 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 申告金額が少なかった場合 | 10%(50万円超の部分は15%) |
| 無申告加算税 | 申告期限までに申告しなかった場合 | 15%(50万円超300万円以下は20%、300万円超は30%) |
| 不納付加算税 | 源泉所得税を期限までに納付しなかった場合 | 10%(自主的な納付なら5%) |
| 重加算税 | 仮装・隠蔽など悪質な場合 | 35%~40% |
加算税は本税に対して上乗せされるペナルティです。特に重加算税は最大40%に達し、金額的な負担も大きくなります。
出典:財務省|加算税の概要
6-3 青色申告の取消し
2期連続で申告期限を過ぎてしまうと、青色申告の承認が取り消される可能性があります。
青色申告が取り消されると、以下の優遇措置が利用できなくなります。
- 欠損金(赤字)の10年間繰越控除
- 欠損金の繰戻還付
- 少額減価償却資産の特例(40万円未満の即時償却)
- 特別償却・税額控除
再度青色申告を申請できるのは取消後1年経過後となるため、節税面でも金融機関からの信用面でも大きな痛手となります。申告期限は必ず守りましょう。
7. Q&A
Q1. 会社を設立したばかりですが、1期目から消費税は払わなければなりませんか?
A. 原則として、資本金1,000万円未満で設立した法人は、1期目・2期目は消費税の納税義務が免除されます。
ただし、インボイス発行事業者として登録した場合や、特定期間の課税売上高等が1,000万円を超える場合は、課税事業者となるため注意が必要です。
Q2. 赤字決算でも支払わなければならない税金はありますか?
A. はい、あります。
法人住民税の均等割は、所得の有無にかかわらず、資本金等の額と従業員数に応じて定額で課されます。最低でも年7万円程度は発生します。
また、資本金1億円超の法人に課される外形標準課税(付加価値割・資本割)や、固定資産税、自動車税、源泉所得税なども、赤字決算であっても納税義務があります。
Q3. 納税資金が足りない場合、どうすればよいですか?
A. まずは早めに税務署や自治体へ相談しましょう。
一定の要件を満たせば「納税の猶予」制度を利用することができ、最長1年間(場合により2年)の分割納付が可能になります。無断で納付を遅延すると延滞税が加算されますので、必ず事前に相談することが重要です。
また、普段から決算予測を行い、納税資金を別口座でプールしておくことをおすすめします。
Q4. 決算後に税金が想定以上に高額になって困っています。節税対策はできますか?
A. 残念ながら、決算後にできる節税はほとんどありません。
節税対策は、事業年度が終わるまでに実行する必要があります。具体的には、決算の3か月前までに利益予測を行い、決算賞与の支給や設備投資・少額減価償却資産の活用、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)への加入などを検討するのが一般的です。
事業年度が終わる前に、顧問税理士と利益予測・税額シミュレーションを行うことをおすすめします。
Q5. 個人事業主と法人で、税金の負担はどのように変わりますか?
A. 所得が一定額を超えると、法人の方が有利になるケースが多くなります。
所得税は累進課税(最高55%:所得税+住民税)ですが、法人税の実効税率は所得800万円以下で約21~22%、800万円超でも約33~34%で頭打ちです。一般的に所得800万円~1,000万円を超えると、法人化のメリットが大きくなると言われています。
ただし、社会保険の加入義務や法人住民税の均等割など、法人特有のコストもありますので、総合的な判断が必要です。
8. まとめ
法人に課される税金の種類・納税タイミング・計算方法、納税遅延や申告漏れで発生するペナルティなどについて解説しました。
法人の税金は、税制改正により毎年のように取り扱いが変わることもあり、ご自身だけで最新の情報をキャッチアップしながら適切に対応していくのは容易ではありません。
少しでも不安な点がある場合は、早い段階から専門家にご相談いただくと安心です。
当事務所では、節税対策を含めた法人税務に関するご相談を承っていますので、お気軽にお問い合わせください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
