短期継続融資とは?メリット・デメリット・活用のポイントを公認会計士・税理士が解説
Relyne(リライン)会計事務所の永野です。
運転資金を毎月返済のある長期借入で調達している会社は、借りた直後は資金に余裕ができても、毎月の返済で減っていき、しばらくすると再び資金繰りが苦しくなります。この問題を解決する借り方が「短期継続融資」です。期日が来ても返済せずに更新を繰り返すことで、実質的に元本を返済せずに借り続けることができます。
本記事では、銀行借入の種類から、短期継続融資の内容・メリット・デメリット・活用するためのポイント、短期借入カバー率まで、公認会計士・税理士が解説します。
目次
1. 銀行借入の種類
1-1 短期借入と長期借入
銀行借入は、返済期限によって2つに分かれます。
- 短期借入:返済期限が1年以内の借入
- 長期借入:返済期限が1年を超える借入
仕入代金や人件費などの運転資金は短期借入で、機械や店舗などの設備資金は長期借入で調達するのが、資金使途に合った借り方です。
1-2 契約形態の種類
契約の形態で分けると、「手形貸付」「当座貸越」「証書貸付」の3種類があります。
| 手形貸付 | 当座貸越 | 証書貸付 | |
|---|---|---|---|
| 期間 | 1年以内(短期) | 1年以内(短期) ※期限ごとに枠を更新 |
1年超(長期) |
| 返済方法 | 期日に一括返済 | 枠内でいつでも借入・返済 | 毎月の分割返済 |
| 主な使いみち | 運転資金・つなぎ資金 | 運転資金 | 設備資金・長期運転資金 |
| 契約書類 | 約束手形 | 当座貸越契約書 | 金銭消費貸借契約書 |
手形貸付は、会社が銀行を受取人とする約束手形を振り出し、その手形と引き換えにお金を借りるものです。手形に記載した支払期日が、そのまま返済期日になります。期間は概ね3ヶ月〜1年以内で設定し、期日に一括で返済します。工事代金が入るまでのつなぎ資金や、賞与・納税といった一時的な資金の調達によく使われます。
当座貸越は、銀行が会社ごとに融資枠(極度額)を設定し、その枠内であればいつでも自由に借入と返済ができるものです。たとえば、極度額3,000万円の当座貸越契約を結べば、必要なときに1,000万円借りて、資金に余裕ができたら500万円返す、といった出し入れを自由に行うことができます。利息は借りている金額と日数の分だけ発生するため、無駄な金利負担がありません。契約期間は1年ごとに更新され、更新時に銀行が業績を確認して極度額を見直します。
なお、「当座」という名前がついていますが、当座預金がなくても契約することができます。
証書貸付は、金銭消費貸借契約書(借用証書)を銀行と交わしてお金を借りるものです。返済期間は1年超で、5年〜10年の分割返済で契約するのが一般的です。日本政策金融公庫の創業融資や、銀行の設備資金融資など、中小企業が受ける融資の大半はこの証書貸付です。
2. 短期継続融資とは
2-1 期日に更新して借り続ける短期融資
短期継続融資とは、期日一括返済を条件とする1年以内の短期融資を、期日が来るたびに更新(書換)して借り続ける融資のことです。手形を転がすように更新し続けることから、「短コロ(短期転がし)」とも呼ばれます。
具体的な形態は次の2つです。
- 手形貸付の書換:期日に返済せず、新たな手形を差し入れて借入を継続する
- 当座貸越:1年ごとに極度額を見直しながら枠を更新し、枠内で借り続ける
どちらも契約上は1年以内の短期融資ですが、期日に更新を繰り返すため、事業を続けている限り実質的に元本を返済せずに借り続けることができます。会社が支払うのは利息だけです。
2-2 対象は経常運転資金
短期継続融資の対象になるのは、経常運転資金です。
| 経常運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 − 仕入債務 |
会社の取引では、商品を仕入れてから、販売した売上代金が入金されるまでに時間差があります。この間の支払いは、自己資金や借入などで賄う必要があります。その資金が経常運転資金であり、事業を続けるために常に必要となるものです。正常運転資金や所要運転資金とも呼ばれます。
たとえば、売掛金2,000万円・在庫1,000万円・買掛金1,200万円の会社であれば、経常運転資金は1,800万円となります。売掛金・在庫・買掛金の残高は、事業規模が変わらなければ同様の水準で計上され続けるため、経常運転資金も変動しません。
常に必要であり続ける資金なので、期日に更新して借り続ける短期継続融資で調達するのが、資金使途に合っています。
運転資金については「運転資金とは?種類・計算方法・目安を公認会計士・税理士が解説」で解説しています。
2-3 経常運転資金を長期借入で調達すると資金繰りが苦しくなる
多くの中小企業は、経常運転資金を毎月返済のある証書貸付(長期借入)で調達しています。
先ほどの経常運転資金1,800万円の会社が、1,800万円を5年返済の証書貸付で借りたとします。毎月の元本返済額は30万円です。借りた直後は預金が1,800万円増えますが、経常運転資金は事業を続ける限り必要であり続けるのに対して、元本返済分の30万円は毎月減っていきます。1年後には360万円減り、2〜3年経つと再び資金が足りなくなって追加の借入を申し込むことになります。
追加の借入をしても、以前の借入の返済はまだ残っているため、返済中の借入が積み重なり、毎月の返済額の合計は膨らんでいきます。運転資金を長期借入で調達している会社の資金繰りが慢性的に苦しいのは、なくならない資金需要に対して、毎月返済が必要な借入で対応しているからです。
短期継続融資であれば、経常運転資金1,800万円を借りたまま更新し続けるため、毎月の元本返済がなく、この問題は起きません。
なお、金融庁も「正常運転資金に対して、短期継続融資で対応することは何ら問題ない」との見解を示しています。金融検査マニュアルは2019年12月に廃止されましたが、銀行の自己査定や融資判断は今も同様の枠組みで行われています。
参考:金融庁|「まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成26年12月27日閣議決定)」を踏まえた「金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕」への新たな事例の追加について
3. 短期継続融資のメリット

3-1 元本を返済せずに借り続けられる
短期継続融資は、期日に更新を繰り返すため、事業を続けている限り元本の返済がありません。会社から出ていくのは利息だけです。
先ほどの例で比較すると、経常運転資金1,800万円を5年の証書貸付で借りた場合、毎月30万円(年間360万円)の元本返済が発生します。短期継続融資であれば、この年間360万円の支出がまるごとなくなります。浮いた資金は、設備投資や人材採用など、会社を成長させるための支出に回すことができます。
また、繁忙期に仕入が増える会社や、売上の入金が数ヶ月先になる業種(建設業、医療・介護、製造業など)では、支払いが先行して入金を待つ期間の資金不足を短期継続融資で埋めることで、毎月の資金繰りを気にせず事業に集中することができます。
3-2 手元の現預金が減らない
毎月の元本返済がないため、返済で預金が減っていきません。急な支出や売上の落ち込みにも、手元資金で対応することができます。
また、銀行は融資審査で、現預金が月商の何ヶ月分あるかを示す「手元流動性比率」を確認します。預金残高を維持しやすくなることで、この指標も改善します。
手元流動性比率については「手元流動性比率とは?計算方法・目安・改善方法を公認会計士・税理士が解説」をご参照ください。
3-3 無担保・無保証で借りられる
短期継続融資は、無担保・無保証で借りることのできる融資です。返済原資が売掛金の入金と在庫の販売代金であり、近いうちに現預金に変わる資産の裏付けがあるためです。
信用保証協会の保証枠には上限があるため、経常運転資金はプロパーの短期継続融資で調達し、保証枠は業績悪化時や大型投資のために温存しておくことを目指しましょう。
信用保証協会については「信用保証協会とは|仕組み・保証料・メリットを公認会計士・税理士が解説」で解説しています。
4. 短期継続融資のデメリット

4-1 更新を断られる可能性がある
短期継続融資は、契約上はあくまで期日一括返済の短期融資です。銀行は更新のたびに会社の業績を確認しており、業績が大きく悪化した場合や、赤字の穴埋めに資金が流用されていると判断された場合には、更新を断られる可能性があります。
更新を断られると、期日に一括返済を求められます。経常運転資金として借りている資金なので、一括返済すればその瞬間に運転資金が不足し、資金繰りが一気に悪化します。実際には、いきなり全額回収されるのではなく、毎月返済のある長期借入への切り替えを提案されるケースが多いですが、それでも毎月の返済負担が新たに発生することに変わりはありません。
このリスクに備えて、日頃から試算表や資金繰り表を銀行に提出し、業況を隠さず共有しておきましょう。銀行が会社の状況を把握できていれば、一時的な業績の落ち込みで即座に更新を打ち切られる可能性は低くなります。
資金繰り表については「資金繰り表の作り方を公認会計士・税理士が解説|基本構成から運用のポイントまで」をご参照ください。
4-2 元本が減らず利息の支払いが続く
短期継続融資は元本を返済しないため、借りている限り利息の支払いが続きます。5年で完済する証書貸付と10年間借り続ける短期継続融資を比べれば、支払う利息の総額は短期継続融資のほうが大きくなります。
ただし、仮に金利2%で1,800万円を借り続けた場合でも、年間の利息は36万円(月3万円)です。5年返済の証書貸付で借りた場合に発生する年間360万円の元本返済と比べれば、毎月の資金繰りへの負担は小さいです。
利息の負担をなくしたいのであれば、利益を蓄積して、経常運転資金を借入なしで賄える状態を目指しましょう。
4-3 銀行からの評価(格付)が低いと利用できない
短期継続融資は実質的に返済を求めない融資のため、銀行はどの会社にでも応じるわけではありません。一定以上の格付(債務者区分で正常先)であることが前提で、債務超過の会社や、赤字が続いて返済原資に不安のある会社に対しては、銀行は更新型の融資に応じません。
また、銀行によって短期継続融資への姿勢に差があります。地域の中小企業と長く付き合う信用金庫・地方銀行には取り組む先が多い一方、過去の経緯から今も慎重な銀行や、支店・担当者によって対応が分かれる銀行もあります。銀行側から提案されるのを待つのではなく、会社側から相談する姿勢が必要です。
格付と債務者区分については「債務者区分とは?正常先〜破綻先の違いと資金調達への影響を公認会計士・税理士が解説」で解説しています。
5. 短期継続融資を受けるためのポイント

5-1 経常運転資金を計算して提示する
短期継続融資の融資額は、経常運転資金の範囲内が目安です。銀行に相談する前に、自社の決算書から「売上債権+棚卸資産−仕入債務」を計算し、いくらの枠が必要かを自社で示せるようにしておきましょう。
「運転資金が足りないので貸してほしい」ではなく、「経常運転資金が1,800万円あるので、この分を短期継続融資でお願いしたい」と具体的に伝えると、銀行側も検討しやすくなります。
5-2 メインバンク1行に依頼する
短期継続融資の融資額は経常運転資金の範囲内が目安なので、複数の銀行に分散させず、1つの銀行に依頼します。
依頼先は、自社の事業内容を最もよく理解しているメインバンクとなります。短期継続融資は、銀行が会社の実態を継続的に把握しながら更新していく融資なので、普段から決算書や試算表を共有し、業況を報告している銀行でなければ応じてもらうことが難しいです。
金融機関ごとの特徴と付き合い方については「金融機関の種類を徹底解説|事業者目線で押さえる特徴と付き合い方」も合わせてご参照ください。
5-3 黒字決算のタイミングで相談する
短期継続融資を申し込むタイミングは、黒字の決算書ができた直後がベストです。
赤字決算の会社に短期継続融資をすると、売掛金や在庫が現金化されても赤字の穴埋めに消えてしまい、資金が経常運転資金として回らなくなると銀行は考えます。黒字であれば、資金は経常運転資金にそのまま充てられ、事業が続く限り回収の裏付けがあると判断してもらうことができます。
資金繰りが苦しくなってから駆け込むのではなく、業績が良いときにこそ、借入の構造を長期借入から短期継続融資へ切り替える交渉をしておくべきです。
5-4 売掛金・在庫の中身を開示する
短期継続融資の返済原資は売掛金と在庫です。その中に回収できない不良債権や滞留・不良在庫が混じっていると、銀行は融資に慎重になってしまいます。
売掛金は得意先ごとの残高と入金サイト、在庫は品目ごとの内訳を提示するなど、中身に問題がないことを会社側から示しましょう。中身が健全であることを示すことができれば、銀行は安心して融資枠を設定することができます。
6. 短期借入カバー率とは
自社が短期継続融資をどれだけ活用できているかは、短期借入カバー率という指標で確認することができます。経常運転資金(所要運転資金)のうち、どれだけを短期借入金で賄えているかを示す指標です。
| 短期借入カバー率(%)= 短期借入金 ÷ 経常運転資金 × 100 |
目安は次のとおりです。
| 短期借入カバー率 | 判定 |
|---|---|
| 100%以上 | 良好な状態 経常運転資金を短期借入で賄うことができている |
| 30%〜100%未満 | 短期継続融資の増額を目指したい水準 |
| 30%未満 | 短期借入金が不足 経常運転資金を長期借入や手元資金で賄っている状態 |
| 計算不可 (経常運転資金がマイナス) |
前受金があったり、現金販売であるなど、 そもそも短期借入が不要な状態 |
たとえば、経常運転資金1,800万円に対して短期借入金が500万円の会社であれば、短期借入カバー率は約28%です。差額の1,300万円分は、毎月返済のある長期借入や自己資金で賄っていることになり、短期継続融資への切り替え余地が大きい状態だと分かります。
売上の変動に対応できる余裕を持たせるため、経常運転資金の1.2倍程度の枠(当座貸越の極度額)を確保しておくのが理想です。
なお、短期借入金が少なくても、自己資本が厚く、借入をしなくても経常運転資金を賄うことができている会社であれば問題ありません。

7. Q&A
Q1. 短期継続融資はどこの金融機関に相談すればよいですか?日本政策金融公庫でも借りることはできますか?
A. 相談先は、普段から取引のある信用金庫や地方銀行などの民間金融機関です。中でも、自社の業況を最もよく把握しているメインバンクに相談しましょう。
日本政策金融公庫では、短期継続融資を利用することはできません。公庫の貸付は証書貸付のみで、手形貸付の書換や当座貸越といった、期日に更新して借り続ける融資形態を取り扱っていないためです。公庫からの借入は創業資金や設備資金・長期運転資金として活用し、経常運転資金の短期継続融資は民間金融機関と、役割を分けて付き合うことになります。
Q2. 信用保証協会の保証付きで短期継続融資を受けることはできますか?
A. 保証付きで利用できる制度はありますが、本来目指すべきはプロパー融資(保証なし)での短期継続融資です。
信用保証協会には、当座貸越型の根保証制度など、短期の反復利用に対応した保証制度があります。ただし、制度の内容・利用条件は都道府県の保証協会ごとに異なるため、利用を検討する場合は取引銀行を通じて地元の保証協会の制度を確認する必要があります。
そのうえで、短期継続融資の返済原資は売掛金と在庫であり、資産の裏付けがある融資です。保証協会の保証枠には上限があるため、この融資にまで保証枠を使うのはもったいないです。まずはプロパーでの短期継続融資を銀行に相談し、財務内容が理由で難しいと言われた場合の次善策として、保証付きの制度を検討しましょう。
Q3. 短期継続融資の金利はどのくらいですか?
A. 金利は、短期プライムレート(銀行が優良企業向けの短期融資に適用する基準金利)に、会社の信用力に応じた上乗せをして決まります。何%になるかは会社の格付と銀行との取引状況次第ですが、同じ会社であれば、期間の短い融資はリスクが小さいため、長期の証書貸付より低い金利で借りることができるのが通常です。
なお、同じ短期継続融資でも、いつでも自由に出し入れできる当座貸越は、使い勝手が良い分、手形貸付より金利が高めに設定されます。金利だけを比べるのではなく、資金管理の手間や借入・返済の自由度も含めて、どちらの形態にするかを銀行と相談しましょう。
Q4. すでに長期借入で運転資金を借りています。短期継続融資に切り替えることはできますか?
A. できます。
進め方としては、まず自社の経常運転資金を計算し、長期借入のうち経常運転資金に相当する部分を特定します。そのうえで、黒字決算のタイミングでメインバンクに「経常運転資金分を短期継続融資(できれば当座貸越)に切り替えたい」と相談します。切り替えが実現すれば、その分の毎月の元本返済がなくなり、資金繰りは大きく改善します。
ただし、切り替えに応じてもらうには、銀行から正常先の評価を受けていることが前提となります。直近が赤字の場合や自己資本が薄い場合は、先に決算内容の改善に取り組み、評価を上げてから交渉する必要があります。
8. まとめ
短期継続融資の内容・メリット・デメリット・活用ポイント、短期借入カバー率を解説しました。
本記事の要点は次のとおりです。
- 短期継続融資は、1年以内の短期融資を期日ごとに更新して借り続ける融資
手形貸付の書換(短コロ)と当座貸越の2つの形態 - 対象は経常運転資金(売上債権+棚卸資産−仕入債務)
事業を続ける限りなくならない資金需要 - メリットは毎月の元本返済がなくなり、手元の現預金が減らないこと
- デメリットは、業績悪化時に更新を断られるリスク、利息負担
- 利用するには一定以上の格付が必要
銀行や担当者によって対応が分かれるため、会社側から相談する姿勢が必要 - 短期借入カバー率は、経常運転資金をどれだけ短期借入で賄えているかを示す指標
短期借入金 ÷ 経常運転資金 × 100 で計算
当事務所では、記帳代行や税務申告だけでなく、毎月の数字をもとにした経営改善・資金繰りのアドバイスまで行っています。初回無料相談も承っておりますので、税金や会計についてはもちろん、資金調達・資金繰りに関しても、お気軽にお問い合わせください。
最後までご覧いただきありがとうございました。

この記事を書いた人
永野 隆丞(公認会計士・税理士)
日本公認会計士協会 東京会 46468号/東京税理士会 157067号
Relyne(リライン)会計事務所 代表。
有限責任監査法人トーマツ、ミネベアミツミ株式会社での監査・経理実務を経て、東京都千代田区で開業しました。クラウド会計freeeを活用した創業期の会社のサポートを強みとしています。ブログ記事は顧問先様に実際に説明するときにも活用しており、会計や税金に初めて触れる方でも分かりやすい内容を心がけています。趣味はサッカー観戦・野球・将棋です。
