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支払調書とは?提出が必要なケース・期限・書き方を税理士が解説

Relyne(リライン)会計事務所の永野です。

毎年1月は、税務署に法定調書を提出する時期です。税理士への報酬や事務所の家賃など、会社が1年間に行った支払いの中には、「支払調書」を作成して税務署に報告しなければならないものがあります。

本記事では、支払調書の仕組み、提出が必要になるケース、期限・提出方法、書き方を公認会計士・税理士が解説します。

1. 支払調書とは

1-1 概要

支払調書とは、「誰に・どのような内容で・年間いくら支払ったか」を税務署に報告する書類です。支払った側が作成し、支払の確定した年の翌年1月31日までに税務署へ提出します。

税務署は、支払調書の内容と、確定申告の内容を突き合わせて、申告漏れがないかを確認しています。源泉徴収が正しく行われているかどうかも、支払調書を通じてチェックされます。

1-2 法定調書・源泉徴収票との違い

支払調書とよく似た言葉に「法定調書」と「源泉徴収票」があります。
関係を整理すると次のとおりです。

  • 法定調書:所得税法などの法律で税務署への提出が義務付けられた書類の総称。
    全部で63種類あります(2026年8月時点)
  • 支払調書:法定調書のうち、報酬や家賃などの支払いを報告する書類。
    「〇〇の支払調書」という名称のものだけで30種類以上あります
  • 源泉徴収票:法定調書のうち、給与・退職金の支払いを報告する書類

源泉徴収票も支払調書も、どちらも法定調書の一部です。両者は支払いの内容で使い分け、給与・退職金を支払ったときは源泉徴収票、それ以外の報酬や家賃などを支払ったときは支払調書を作成します。

参考:国税庁|No.7401 法定調書の種類

支払調書と源泉徴収票(給与所得の源泉徴収票)は、取扱いにも次の違いがあります。

支払調書 源泉徴収票(給与)
対象となる支払い 報酬・料金・家賃など 給与・賞与
(退職金は退職所得の源泉徴収票)
本人への交付義務 なし(税務署に提出するのみ) あり(全従業員に交付が必要)
提出先 税務署 税務署

市区町村(給与支払報告書)
マイナンバー 税務署提出分に記載
(本人に渡す場合は記載不可)
税務署提出分に記載
(本人交付分は記載不可)

なお、給与所得の源泉徴収票の提出方法は2027年1月に変わります。
令和9年(2027年)1月1日以後は、市区町村に「給与支払報告書」を提出すれば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされ、税務署提出用の源泉徴収票の作成・提出が不要になります(従業員本人への交付は引き続き必要です)。
一方、支払調書にはこのようなみなし制度はなく、これまでどおり税務署への提出が必要です。

参考:国税庁|源泉徴収票みなし提出の特例 特設ページ

2. 主な支払調書の種類と提出が必要になるケース

支払調書は30種類以上ありますが、実際に作成する機会が多いのは次の4種類です。

支払調書の名称 対象となる支払い 提出が必要になる金額
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 税理士報酬、原稿料、デザイン料など 同一人に年5万円超
(外交員報酬等は年50万円超)
不動産の使用料等の支払調書 家賃・地代・権利金・更新料など 同一人に年15万円超
不動産等の譲受けの対価の支払調書 不動産の購入代金 同一人に年100万円超
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 不動産の売買・賃借の仲介手数料 同一人に年15万円超

金額基準はいずれも消費税込みで判定しますが、請求書などで消費税額が明確に区分されている場合は、税抜金額で判定して差し支えありません。

2-1 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

最も作成頻度が高い支払調書です。税理士や司法書士に報酬を支払っている会社が多いため、この支払調書は毎年提出することになるケースがほとんどです。

提出が必要になるのは、次の支払いです。

支払いの内容 提出が必要になる金額
弁護士・税理士・司法書士・社会保険労務士などへの報酬、原稿料、デザイン料、講演料、翻訳料、芸能人・スポーツ選手への報酬、契約金 など 同一人に対する年間の支払金額の合計が5万円超
外交員・集金人・電力量計の検針人・プロボクサーの報酬、ホステス等の報酬、広告宣伝のための賞金 など 同一人に対する年間の支払金額の合計が50万円超
馬主に支払う競馬の賞金 1回の賞金額が75万円を超える人への年間支払額

対象となる支払いは、源泉徴収が必要な報酬・料金(所得税法204条1項)とほぼ重なります。フリーランスのライターに原稿料を支払う、個人のデザイナーにロゴ制作を依頼するといった場合、支払時に10.21%の源泉徴収をした上で、年間5万円を超えれば支払調書も提出する、という流れになります。

提出範囲の判定では、次の2点を誤りやすいので注意しましょう。

  • 源泉徴収していない支払いでも提出は必要:税理士法人や弁護士法人など、法人への報酬は源泉徴収の対象外ですが、支払金額が基準を超えれば支払調書の提出は必要です
  • 判定は「支払が確定した金額」で行う:支払った金額ではなく、その年中に支払が確定した金額で判定します。12月分の報酬が未払いでも、支払が確定していれば集計に含めます

参考:国税庁|No.7431 「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出範囲と提出枚数等

なお、税理士報酬などから源泉徴収した所得税は、支払った月の翌月10日までに納付します。従業員が常時10人未満の会社は、「納期の特例」を申請することで、給与と税理士・司法書士など士業への報酬に係る源泉所得税を年に2回まとめて納付することができます。詳しくは「源泉所得税の納期の特例とは?適用条件・申請書の書き方・注意点を税理士が解説」をご参照ください。

2-2 不動産の使用料等の支払調書

事務所や店舗の家賃・地代などを支払ったときに提出する支払調書です。提出義務があるのは、不動産の使用料等を支払う「すべての法人」と「不動産業者である個人」で、同一人に対する年間の支払金額の合計が15万円を超える場合に提出します。

見落とされやすいのが、貸主(大家)が個人か法人かで対象範囲が変わる点です。

  • 大家が個人の場合:家賃・地代を含むすべての使用料が対象。月13,000円(年15.6万円)を超える家賃を払っていれば提出が必要です
  • 大家が法人の場合:権利金・礼金・更新料など一時的な支払いのみが対象。家賃だけを支払っている場合、支払調書の提出は不要です

このため、法人の管理会社を通じて個人所有の物件を借りているケースでは、支払先(貸主)が個人であれば提出が必要です。契約書で貸主が誰かを確認しましょう。

家賃・地代のほか、次の支払いも「使用料等」に含まれます。

  • 権利金・礼金(返還されないことが確定した敷金・保証金を含む)
  • 更新料・承諾料・名義書換料
  • 催物会場の一時的な賃借料、駐車場代(土地の賃借にあたるもの)

参考:国税庁|No.7441 「不動産の使用料等の支払調書」の提出範囲等

2-3 不動産等の譲受けの対価の支払調書

不動産(土地・建物のほか、借地権などの権利、総トン数20トン以上の船舶、航空機を含みます)を購入したときに提出する支払調書です。提出義務者は法人と不動産業者である個人で、同一人に対する年間の支払金額の合計が100万円を超える場合に提出します。

会社で社屋や土地を購入した年だけ関係する書類なので、該当する取引がなければ気にする必要はありません。

参考:国税庁|No.7442 「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の提出範囲等

2-4 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

不動産の売買や賃借にあたって、不動産会社に仲介手数料を支払ったときに提出する支払調書です。提出義務者は法人と不動産業者である個人で、同一人に対する年間の支払金額の合計が15万円を超える場合に提出します。

事務所を借りた年に仲介手数料を15万円超支払った場合などが該当します。なお、「不動産の使用料等の支払調書」や「不動産等の譲受けの対価の支払調書」の「あっせんをした者」欄に仲介した不動産会社の情報を記載すれば、この支払調書の提出を省略することができます。

参考:国税庁|No.7443 「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」の提出範囲等

3. 支払調書の提出先・期限・提出方法

3-1 提出先と提出期限

支払調書は、支払の確定した年の翌年1月31日まで(1月31日が土日の場合は翌開庁日まで)に、会社の所在地を所轄する税務署へ提出します。

提出の際は、支払調書だけを単独で出すのではなく、「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」に添付して提出します。合計表は、給与・退職金・報酬・家賃など会社が1年間に支払った金額の総額を1枚にまとめる書類で、提出を省略できる支払い(年5万円以下の報酬など)も含めた総額を記載します。

年末調整を終えた後、「源泉徴収票と給与支払報告書の作成」「支払調書の作成」「法定調書合計表の作成・提出」までが、1月に行う一連の手続きです。

参考:国税庁|No.7400 法定調書の提出義務者

3-2 提出方法

支払調書の提出方法は次の4種類です。

  • 書面(紙):国税庁の様式に記入して税務署へ持参または郵送
  • e-Tax:国税の電子申告システムから送信。無料の「e-Taxソフト(WEB版)」では画面入力のほか、給与ソフト等で作成したCSVファイルの取込みにも対応しています
  • 光ディスク等:CD・DVDに所定の形式でデータを記録して提出
  • 認定クラウド等:国税庁長官の認定を受けたクラウドサービスを利用して提出。事前に「認定特定電子計算機による申請等の開始(変更)届出書」の提出が必要です

e-Taxであれば税務署に出向く必要がなく、給与計算ソフトや会計ソフトからデータを連携して作成することができるため、特別な理由がなければe-Taxでの提出をおすすめします。

3-3 提出しなかった場合の罰則

支払調書を期限までに提出しなかった場合や、偽りの記載をして提出した場合には、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています(所得税法242条)。

実際には、提出漏れがあっても直ちに罰則が科されるケースはまれで、税務署からの問い合わせや税務調査で指摘され、提出を求められるという流れが一般的です。ただし、支払調書の提出漏れは「源泉徴収の漏れ」とセットで見つかることが多く、その場合は不納付加算税や延滞税といった金銭的な負担が生じます。提出を忘れていたことに気づいたら、期限後であっても速やかに提出しましょう。

4. 支払調書の書き方(報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書)

最も作成頻度の高い2-1「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の書き方を説明します。

4-1 様式の入手方法

様式は、国税庁ホームページから手書き用・入力用のPDFをダウンロードすることができます。e-Taxで作成・送信する場合や、会計ソフト・給与ソフトの支払調書作成機能を使う場合は、様式を用意する必要はありません。

参考:国税庁|F1-3 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同合計表)

4-2 記載項目ごとの書き方

記載する項目は次の7つです。

項目 記載する内容
① 支払を受ける者 支払先の住所(所在地)・氏名(名称)・マイナンバーまたは法人番号。
② 区分 支払いの名称。
「税理士報酬」「原稿料」「講演料」「デザイン料」など、何に対する支払いかが分かるように記載します。
③ 細目 区分を補足する具体的な内容。
税理士報酬なら「税務顧問」「決算申告」、原稿料なら支払回数、講演料なら講演の名称などを記載します。
④ 支払金額 その年中に支払の確定した金額の合計。
源泉徴収する前の金額を、消費税込みで記載します。
(消費税額が明確に区分されている場合は税抜金額で記載し、摘要欄に消費税額を記載する方法も認められています)
未払いがある場合は、欄の上段に未払額を内書きします。
⑤ 源泉徴収税額 その年中に源泉徴収すべき所得税・復興特別所得税の合計額。
未払いのため未徴収の税額がある場合は、欄の上段に内書きします。
⑥ 摘要 通常は空欄。
金銭以外で賞金を支払った場合や、支払先が源泉徴収の免除証明書を提出している場合など、特記事項がある場合に記載します。
⑦ 支払者 自社の所在地・名称・電話番号・法人番号を記載します。

 

⑤の源泉徴収税額は、次の算式で計算した金額と一致しているかを確認しましょう(原稿料・講演料・税理士報酬などの場合)。

  • 支払金額100万円以下の部分:支払金額 × 10.21%
  • 支払金額100万円超の部分:超えた部分の金額 × 20.42%

たとえば税理士に年間60万円(税抜)の顧問報酬を支払った場合、支払金額66万円・源泉徴収税額61,260円(税抜60万円×10.21%)と記載します。

なお、司法書士報酬は算式が異なり、1回の支払金額から1万円を差し引いた額に10.21%を乗じて計算します。

4-3 マイナンバーの取扱い

税務署に提出する支払調書には、支払先のマイナンバー(法人の場合は法人番号)と自社の法人番号を記載する必要があります。法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで誰でも調べることができますが、個人のマイナンバーは支払先本人から提供を受け、番号確認と本人確認を行う必要があります。

実務では次の2点に注意しましょう。

  • マイナンバーの提供を受けられない場合:提供を依頼した経緯(依頼日・方法など)を記録した上で、マイナンバー欄を空欄のまま提出することができます。空欄でも受理されますが、単なる記載漏れと区別するため、依頼の記録は必ず残しましょう。
  • 支払先に写しを渡す場合:支払調書の写しを支払先に送る場合、マイナンバーを記載したまま渡すことはできません(番号法上の提供制限に抵触します)。税務署提出用とは別に、マイナンバー欄を空欄にしたものを交付しましょう。

5. Q&A

Q1. 個人への外注費は、すべて源泉徴収と支払調書の対象になりますか?

A. いいえ。対象になるのは、所得税法204条1項に列挙された報酬・料金(原稿料、デザイン料、講演料、弁護士・税理士等の報酬など)に限られます。列挙されていない業務、たとえばシステム開発やプログラミング、事務代行、清掃、運送などへの支払いは、源泉徴収も「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の提出も不要です。

Q2. 支払調書が届かないと、受け取った側は確定申告できないのでしょうか?

A. 支払調書がなくても確定申告はできます。確定申告書への支払調書の添付義務はなく、自身の帳簿や請求書をもとに収入金額と源泉徴収税額を集計して申告するのが本来の形です。

支払調書はあくまで支払者が税務署に提出する書類であり、受け取る側のために作られる書類ではありません。取引先から支払調書が届かない場合でも、支払通知書や振込額から源泉徴収税額を逆算するなどして、自身で集計しましょう。

Q3. 外注先のフリーランスの方から「支払調書を送ってほしい」と言われました。交付する義務はありますか?

A. 支払調書を支払先に交付する法律上の義務はありません。支払調書は税務署に提出する書類で、源泉徴収票のような本人への交付義務は定められていないためです。

ただし、支払先が確定申告の際に年間の支払額と源泉徴収税額を確認する資料として使えるため、慣行として写しを送る会社は多くあります。交付すること自体に問題はありませんので、求められた場合は、マイナンバー欄を空欄にした写しを渡してください。確定申告の時期を考えると、1月中〜2月上旬に届くように送ると親切です。

Q4. 支払調書の提出を忘れていました。どうすればよいですか?

A. 気づいた時点で速やかに提出しましょう。期限後の提出でも受理されます。

罰則の取扱いは3-3で述べたとおりです。放置して税務調査で指摘されるより、自主的に提出しておく方が良い結果になります。あわせて、源泉徴収の漏れがないかも確認し、漏れが見つかった場合は不納付加算税や延滞税の負担が増えないよう速やかに納付しましょう。

6. まとめ

支払調書の仕組み、提出が必要になるケース、期限・提出方法、書き方を解説しました。
ポイントは次のとおりです。

  • 支払調書は「誰に・どのような内容で・年間いくら払ったか」を税務署に報告する法定調書
    提出義務は支払った側にある
  • 多くの会社で該当するのは、税理士や原稿料・デザイン料などの報酬、個人の大家への家賃
  • 金額は、その年に支払が確定した金額を消費税込みで判定する
    (消費税額が区分されている場合は税抜判定も可)
  • 提出期限は支払の確定した年の翌年1月31日
    法定調書合計表に添付して税務署へ提出する
  • 支払先への交付義務はないが、求められた場合はマイナンバー欄を空欄にした写しを交付

当事務所では、日々の経理処理のチェックから税務申告、税務調査の対応まで、法人の税務をサポートしています。初回無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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Relyne会計事務所 代表 永野隆丞

この記事を書いた人

永野 隆丞(公認会計士・税理士)

日本公認会計士協会 東京会 46468号/東京税理士会 157067号

Relyne(リライン)会計事務所 代表。
有限責任監査法人トーマツ、ミネベアミツミ株式会社での監査・経理実務を経て、東京都千代田区で開業しました。全国的にも数少ない20代の公認会計士・税理士で、クラウド会計freeeを活用した創業期の会社のサポートを強みとしています。ブログ記事は顧問先様に実際に説明するときにも活用しており、会計や税金に初めて触れる方でも分かりやすい内容を心がけています。趣味はサッカー観戦・野球・将棋です。

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